好きでも続けられなかった美容師の仕事

「美容師の平均年齢は30歳前後」「せっかく美容師になっても3年で辞めていく」ーー。

子どもたちの憧れの職業である美容師が、実は、長く続けられない人が多いという問題があることをご存知だろうか。平均年収が他業界と比べて低く、社会保険に加入している美容室もまだまだ少なく、ボーナスが無かったり、年間休日数が少なかったりする場合もある。

必死に勉強して国家資格を取得したのにも関わらず、短期間で好きな仕事を諦めざるを得ない状況になってしまう若手美容師が多数存在している。
名古屋市で2店舗の美容室を経営している株式会社alfRun代表取締役、齊藤誉士さんも、その中の一人だった。

高校生のときから、美容室でのアルバイトと、美容師免許を取得するための専門学校を両立させてきた齊藤さんは、人一倍努力してきた自負があった。

24歳で独立したとき、ふと周りを見渡すと、自分よりお給料の高い仕事をしていて、家族を持ったり家を買ったりしている人たちがいた。

「夢がないなと思ってしまって…このままの状態が続いていくのかなと悩んでしまいました」

齊藤さんは美容業界を辞めて、広告業界の営業になることに。
しかし、すでに美容師という仕事が好きになっていた齊藤さんは、営業としてある程度未来が想像できる仕事よりも、美容業界を何とかしたいという、未来が想像できない仕事に挑戦したいと思い、美容業界へ復帰することにした。

自分の仕事を息子に勧められないのは”寂しい”

美容師が好きで美容業界へ戻ってきた齊藤さんだったが、美容業界に対するマイナスイメージは拭えないままであった。自分の店を持ち、スタッフの労働環境を良くしたいと動いてはいたが、美容業界をどのように何とかするか、というところまでは至っていなかったそう。

フワっとしていた気持ちにスイッチが入ったのは、息子さんの誕生だった。

齊藤さんは、息子さんに「美容師だけは絶対にやらせないと思っていた」と、当時の辛い心境を吐露した。なぜ自分の親は、もっと楽で稼げる仕事を教えてくれなかったのかと、ネガティブな気持ちを持っていた。

だが、ある時ふと、そのネガティブな気持ちが寂しくなったそう。
「自分の子供に、美容師いいぞと言える会社・組織でありたいと思いました。美容業界を変えたいと思ったのが、子どもの影響かもしれないです」
Page top