美容師が頑張れる環境を整えるために法人化

1店舗目をオープンした当時、社会保険を完備している美容室は少なかった。基本給やボーナス、有給は十分ではなく、年間100日休めている店舗もあまりなかったそう。

法人化していない美容室は、在籍しているスタッフの人数に関係なく社会保険に加入する義務がない。社会保険に加入するとなると、給料の約15%が会社負担となる。売上と労働環境とのバランスを取ることは簡単ではない。

齊藤さんは自身の経験から、スタッフに同じような思いはさせたくないと、自店舗の労働環境は、経営状況との兼ね合いを見ながら良くしていこうと考えていた。

最初は、スタッフが増えてきて売上が上がってきたら、徐々に社会保険などを整えていこうと考えていた。ところが齊藤さんは「でもそれってすっごいダサいじゃないですか」と語った。

「売上が上がったら給料を上げる・社会保険を整える」ではなく、「社会保険を整え仕事に集中できる労働環境を作ったから、みんなで頑張ろう」という会社が作れる経営者でありたいという。

こうして美容師の労働環境を整える覚悟を元に、2017年に法人化するに至った。

職人気質と効率化のバランスの難しさ

業界を変えていくためには様々な壁があることは想像に難くないが、今直面している課題は”ヒト”だという。
例えば「やりがいを持って働いてもらうこと」だ。

スタッフ全員が、美容業界を良くしたいと思って働いているのではない。ひとえに「美容が好き」という思いのスタッフと齊藤さんとでは、熱を入れている場所が異なる。労働環境を良くするためには売上を上げていかなければならないが、この方法についてスタッフと考えがぶつかることがある。

齊藤さんは、施術を効率的に行うことで生産性を上げたいと考えているが、それがお客様にとって最高のサービスとは言えない場合がある。安くて時間をかけた施術をすればお客様に喜んでもらえるかもしれないが、それでは経営が成り立たない。
美容師は職人気質の人が多く、自分が納得ができるまでやりたいと思うので、効率的に進めたいという考え方とのバランスが難しい。

「この課題は時間がかかるなと思っています。まさにチャレンジ真っ最中です」
トップダウンにしてしまえば早いが、それではスタッフのやる気がなくなってしまう。自分たちの労働環境を良くするためには、まずは売上を上げていかなければならない。
「最終的には単価を上げること・効率化することに行きつく」と齊藤さんは言う。

「お客様に最高のサービスを届けたいという思いは良いことなので、その思いと売上とを両立させる方法を、自分たちで気づいてもらいたいと考えています」
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